多額の修繕積立金をかけて行う大規模修繕工事ですが、施工業者の選定を一歩間違えると大きなトラブルに発展しかねません
ここでは、実際にあったトラブル事例と、そうならないためにはどんな施工業者を選ぶべきかを紹介しています。
マンションの規模は10階建てで約200戸。もともと大規模修繕工事の計画自体は設計監理コンサルタント方式で順調に進んでいたという実態があります。
そうした中、管理組合の修繕委員長のポジションにある人物が立候補して選出されたのが問題の始まり。施工業者の選定も間近となったタイミングで、それまで修繕計画を一緒に進めていたコンサルタント会社を予告もなく解約したのです。唐突な行動はさらに進み、修繕委員長が推薦する施行会社に工事を依頼することが決まってしまいました。工事管理会社も同じく委員長による推薦業者だったとのことです。
大規模修繕工事自体は完了したものの、その1年後にトラブル発生。工事契約にはアフターサポートとして点検や手直しへの対応が含まれてたにも関わらず、施工会社が1年目の定期点検に対応しないと言い出したのです。
工事管理会社にも連絡をとったところ、こちらも同じく対応拒否。不審に思った管理組合が工事管理会社を調査したところ、建築事務所でも建築士でもない一般企業と判明。修繕委員長を務めた人物に説明を求めようとしたタイミングでは時既に遅し。当該人物は修繕工事が終わった直後、目立たないように引っ越しをしていたことが発覚しました。
トラブルの対処に動いたのは代替わりしていた管理組合。修繕委員長が勝手に解約した、かつてのコンサルタント会社に改めて相談をしました。
すると、コンサルタント会社は修繕委員長と施工会社の関係を知り、当時の修繕委員会には意見していたにも関わらず、修繕委員長の強硬さに押されて、管理組合も追認しただけ。マンション側の中心人物と業者との癒着をチェックする機能が働いていなかったわけです。
その後、コンサルタント会社に弁護士を加えたチーム体制で調停に持ち込み、ごねにごねた末、施工会社は定期点検に対応。ただし、既に工事完了から4年目を過ぎていました。
このケースは発注側と受注側の癒着に起因するトラブルですが、複数業者に相見積もりを依頼しても談合されるリスクもあるなど、表立った資料などからはわかりにくい問題もあります。汎用的対策としては、信頼できるコンサルタント会社なら意見はちゃんと聞いて、なおかつ管理組合やマンション住民全体で情報共有してチェックできる仕組みや体制づくりも重要です。
参照元:愛知リマンション監理グループ公式HP(https://www.arsg.jp/failure/results.html)