大規模修繕工事が無事終わったからと安心していませんか?定期メンテナンスを十分に行っていないと、長期間経ってから施工ミスに気付くこともあります。ここでは、実際にあった工事失敗の事例とその対策について紹介します。
築10年を迎えた初めての大規模修繕工事で、総戸数は約160戸、10階建てマンションで起きたトラブル事例を紹介します。
工事による不具合が発覚したのは、工事終了から数年が経ってからのこと。ベランダに設置されているアルミの手摺り、支柱の付け根部分に膨張と変色が見られたのです。
施工時点からはかなり時間が経っていたこともあり、このアルミ手摺りの支柱に充填された材料が何なのかがわからない状況。従って、どういう対処をすればいいのかもわからず、監理組合も打つ手がない状態でした。
本来、施工会社との保証やアフターサポート、メンテナンス契約などがしっかりしていればよかったのでしょうが、工事完了から数年経ってトラブルが起きてようやく、施工で使用した材料さえ事後にちゃんと確認することができない状況に気づいたのです。
このケースにおける直接的なトラブルの原因は、施工を請け負った会社が補修部材の相性チェックを実施せず、そのまま充填してしまったこと。部材及び工法の選定ミスだったと考えられます。
ちゃんとしたマンション大規模修繕工事業者なら、現地調査・診断した結果を踏まえて、現状にマッチした工事内容を提案するもの。その詳細では、素材の相性や補修方法なども十分にチェックされてしかるべきです。
こうした事態に至り、監理組合が相談したのはマンションの設計監理会社。専門企業として引き受け、早速現地調査を実施、調べた結果を踏まえた修繕方法も提案してくれました。
しかし、結論として当時の施工会社が使用した充填材料の解明には至らず、その物質によって化学変化が起こり膨張してしまったと推測できるとのこと。施工する箇所の部材の相性や適合性、そして手摺りの支柱の取付状況や構造などをちゃんと考えないで施工をしてしまったといわざるを得ません。
マンションの新規建設工事なら、元請けから提示された工事仕様に沿って作業をする下請け施工会社は、工事仕様を検討・確認する必要もありません。一方、大規模修繕工事になるとケースバイケースで劣化状況も異なり、状況に合った工事仕様を決めて、その内容を施工する必要があります。
そういった意味では下請けがメインの施工会社より、元請けとしてマンション大規模修繕工事に対応している会社の方がおすすめ。調査から始まり修繕計画の立案、施工、引渡後のメンテナンスまで元請けの施工会社がトータル対応して、管理組合とも直接やりとりできる取引なら、工事仕様のミスマッチリスクも抑えられ、事後のトラブル時もちゃんとしたサポートが期待できるでしょう。