マンション大規模修繕を築10年目に実施する想定をしていたとして、実際の施工内容を具体化するためにはその時点で改めて建物の現地調査を実施する必要があります。新築分譲時から大規模修繕工事費用を想定して修繕積立金を設定してはいるものの、10年間でどの程度劣化したかは調査・診断をして初めて明確になるもの。
当初想定で見込んでいた修繕なら、予算に大きく影響しないでしょうが、想定外の劣化や不具合などが見つかった場合、大規模修繕工事の予算もある程度かさんでしまうことがあります。
建物の現地調査は日常のメンテナンスを依頼している管理会社に相談するケースもありますし、工事に携わってもらう設計事務所や施工会社に相談するケースもあり。いずれにしても工事費用の概算出しをするには専門業者による建物診断をするのが先だということです。
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マンション大規模修繕の現地調査・診断は実施する業者によって機材の違いなどはあるものの、対象となる箇所や部位に大きな違いはありません。専門業者のひとつ、ヤシマ工業の公式HPに掲載されている「建物診断の診断項目」を参考に、主な診断箇所と概要を以下に紹介します。
調査スタッフがマンションに訪れ、外壁や屋上、廊下といった共用部分を主にチェックします。直接見える箇所の調査が目視調査。打診調査とは打診棒で外壁などを叩いてみて、コンクリートの建物躯体と外壁とに隙間ができていないか、音の響きで調べるものです。
外壁の調査方法のひとつで、専用機器を使って壁の仕上げ材の付着強度をチェックします。付着強度の低下が進むと、仕上げ材の剥落にもなり、修繕しなければなりません。
目視や打診調査だと足場を組まないと確認しにくい高所なども、赤外線サーモグラフィーカメラを使うことで劣化状態の調査ができます。当日の天候に影響される面もありますが、外壁の温度分布を測定することで、問題箇所が可視化されます。
外壁の継ぎ目やアルミサッシのフレーム廻りなどに使われているのがシーリング材。経年劣化で硬化したり縮んだりするため、部分採取して伸縮率などを調べます。
コンクリートは本来アルカリ性ですが、空気に触れることで表面から内側に向かって中性化していく性質を持っています。そのため、外壁から円筒形にコンクリートコアを採取して、中性化の進行度合を調査します。その際、使用されるのがフェノールフタレイン溶液で、アルカリ度が高ければ赤紫色、中性化するほど無色となることで進行度合が目視できます。
専用機器を使ってコンクリートの表面から電磁波を送信、鉄筋をカバーするコンクリートの状態を測定することができます。
コンクリートにテスト的な衝撃を与えることで、その返り値から圧縮強度を測定する試験。シュミットハンマーというツールを使うことで、コンクリートを削ったりせずに測定することができます。